テレデザインにおける様々な活動や思索や情報を、この BLOG のコーナーにおいて紹介します。近況報告や、プロジェクトリポート、あるいはテーマ別のトピックなど、 気軽に読んで頂ければ幸いです。

S邸新築工事:サッシ取付

2010年1月29日

ikteijiban.jpg
S邸のサッシ取付完了です。寸法の狂いもなく、無事取り付けることができました。
建物の南面には吹抜に合わせて高さ約6mの開口部を設けています。
段窓無目の下地をスチールでつくることで、仕上の見付が大きくなりすぎないようにしています。

日本橋の再生と高岡地場産業の再生
不景気だから見えてくる新しい息吹

2010年1月22日

野老朝雄がデザインした高岡バックル

久しぶりにco-labに行ってきた。
千代田区三番町にあるco-labは若いクリエーターが集まるシェアオフィスだ。古い建物の躯体がそのまま露出され、ラフなベニアで各ブースが作られている様子は、オープニング当初と変わらずダイナミック。

co-labの代表を務める田中さんとしばし談笑。この不景気の中だからこそ新しい展開があるようで、今年はco-labの飛躍の年になりそうだ。

僕らがCET(セントラルイースト東京)で街づくりを手がけていた日本橋の裏手、住所でいうと日本橋馬喰町や小伝馬町、そして東神田あたりのオフィスビルの空きビル・空きフロアがまた増えてきている。不景気の波がこの町をも直撃しているのだが、これはCETを始めた2003年頃の状況より悪いかもしれない。

リーマンショック以降、再びこの愛すべき東京の下町が危機に瀕している状況を見て、まだまだ自分がやらなきゃならないことが、沢山あると強く感じる。

もともと、オープンスタジオNOPEというシェアオフィスを2007年まで10年以上運営してきていたのだが、その試みがCoLabとかクラインダイサムのデラックスとか、あるいはRプロジェクトなどに、何らかの影響を与えてきたということもあるし、神田での街づくりであるRenbase UK01などにも繋がって東京キャナルやCETが生まれた、という歴史もある。

今、この街のために再び何かをしなければと、方法論を色々と思案しているところです。

ところで、1年以上かけて手がけてきた高岡のプロジェクトがいよいよお披露目です。二年前に高岡で講演を行ってから始まったこの長いプロジェクトは、一昨年の構想期間を経て去年より本格化し、精鋭のデザイナー5名に参加してもらってベルトのバックルを試作しました。

詳しくは:「高岡連盟展2009 高岡バックル」


いわば地場再生の活動として高岡の得意とする金属や漆の製造技術を生かしたブランドを立ち上げるためのプロジェクトです。

このプロジェクトを通して高岡に何十回と通い、様々な議論や試行錯誤をすることによって、日本のプロダクトにまつわる問題が見えてきました。優れた技術がありながら、それを次世代に繋げていくために十二分にその可能性を引き出すことは、困難な作業でもありましたが、同時に解決策は意外と単純であるということもわかってきました。

日本人は歴史の中でどこかの誰かが作った「ブランド」を継承するのはできるけれど、歴史を分解しもう一度再構築して新しいブランドを「発明」することを不得手としています。

色々とトライ&エラーを繰り返しつつ分かってきたのは、自分に課せられている役割が、デザインというよりはブランド価値の「再構築」と「発明」の部分であり、それを機能させるための流通をデザインすることまでもカバーすることです。そしてそれが実は先述の「馬喰町」エリアが得意としてきていたパートであり、この日本橋裏手のエリアも問屋産業の尻すぼみに悩んでいるという。僕の中では、高岡と馬喰町は繋がりつつある。地方と日本橋を繋ぐ新しい橋を架けてみたいと思っています。

PS. 1月26日の夜18時〜20時まで、高岡工作連盟展のオープニングレセプションを行います。おいしい高岡のお酒も用意していますので、皆様ぜひいらしてください。
(田島則行)

IK邸新築工事:地盤改良

2010年1月18日

ikteijiban.jpg
IK邸の新築工事がはじまり、本体工事に入る前に地盤改良を行いました。
重機の搬入、最低杭長の確保、コスト面等の制約から、細い鋼管を埋め込んでいく工法が採用されました。
約50センチ間隔で埋め込まれた鋼管が地盤を強くし、住宅の沈下を防ぎます。

マンションのカスタマイズ
 自分流にリノベーション

2010年1月11日


意外なことに、この不景気の中、中古マンションは活発に取引されているようです。

コンクリート構造であれば、いくつかの銀行では古くても35年の長期ローンを組めるようになりました。つまり、終の棲家として中古マンションを購入して改修、改装、あるいはリノベーションをして「自分流にカスタマイズ」して住むことは、コストパフォーマンス的にも有利になってきたのです。

2000万円台〜3000万円台で中古マンションを購入し、水回りも含めてリフォームすれば新築同様の空間に生まれ変わります。ローンにして月々の返済額が10万円を切りますから、賃貸で言えばワンルームマンションを借りる金額で倍以上の広さのものが手に入ります。

では、どのようなリノベーションを行うことができるのでしょうか?

家族で住むことを前提にすると、マンションの広さは最低でも60m2以上、あるいは70m2〜80m2ぐらいは必要な広さになります。夫婦二人、あるいは一人でお住まいになるのであれば、40m2〜50m2でも可能です。

ただし、古いマンションの特徴として、部屋数を多くとろうとした間取りであることがほとんどです。nLDKというように、nの数が多い方が良い住宅であるというような間違った概念により、四畳半程度の部屋を詰めこんで2LDK、しかし実は45m2しかない、あるいは3LDKで60m2等かなり無理した間取りが多かったのです。
このままではゆとりのある暮らしはできません。小割りの間取りを取り払って、できるだけ大きく空間を使って気持ちの良い空間にする必要があります。

事例をいくつか挙げます。


r-NP1: 改装前の狭い間取り

r-NP1: 改装後の広々とした空間

r-NP1は61m2で個室が三つもある込み入った空間でした。狭くて使いにくい寸法の間取りです。
各部屋の寸法が中途半端なサイズなので、机を置くのも、ソファーを置くのも、ダイニングテーブルを置くのも、どうもうまくレイアウトできない。布団とちゃぶ台が一番、似合う間取りなのかもしれません。

そこで、この空間を、水回りを集約してコンパクトにまとめ、個室は広々と一つにし、大きなクロゼットを用意、南側の開口部にあわせて広々としたリビングダイニングにリノベーションすれば、とても使いやすい間取りに変貌しました。特に古い中古マンションは収納関係の設計がとても貧しく、収納を一新してあげるとかなり使いやすくなります。



改装後のRISM Wallタイプ

改装後のRISM Floatタイプ

別の事例は、REISMになります。
35m2から40m2の、1LDK、2DKの中古マンションのリノベーションです。これはDINKS向けか、一人暮らし向けになります。
水回りを集約して工事コストを抑えつつ、空間の広さを最大化して広々と住めるように創意工夫をこらしてあります。

こういった小さいサイズの中古マンションを購入するのは、家族で住むには小さすぎますし、家族が増えたときには面積が足りなくなってしまいます。短い期間だけ住むのに賃貸ではなくてわざわざ購入するというのは、リスクが大きいように思いますが実はそんなことはありません。

経済状況の悪い今は中古マンションが非常に安く手に入ります。都心であれば、その価格が急激に落ちていくことはありません。リノベーションによって新たな付加価値をデザインすれば、月々の賃料で利回りが確保されますので投資としても有望です。

将来、広いところに住むためには、売却するか、あるいは賃貸に出して資産形成をはかることも可能になります。
中古マンションをリノベーションして自分流にカスタマイズする、それはかなり現実的な選択としてお薦めです。
(田島則行)

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2010年の抱負
「仕組み」のイノベーション

2010年1月11日

高岡における溶解した鉄を流し込む瞬間。新しい形が生まれる瞬間です。

あけましておめでとうございます。

2010年になりました。

昨年は政治、経済と大きな変化を迎えた一年でした。
まだ世の中の混乱は続くと思われますが、こういう時代だからこそチャンスが訪れていると思います。

リーマンブラザーズが倒産してからすでに一年以上経過。一時の混乱と比較すれば落ち着きを取り戻したものの、依然景況感に前進は無く閉塞感を払拭できません。
政治の世界では公共事業による特需ではなく直接給付による内需拡大が言われていますが、効果を発揮するのはまだ先のようです。
3月から4月ごろには回復基調になってくるとの見方もありますが、厳しい状況はまだ続くと思います。民主党が政治政策ではなく大きなビジョンを構築し、その方針に国全体の信頼が広がるまでは本来の成長路線に回復するには時間がかかるでしょう。

明るい話は少ないようでありますが、実はこのような経済の低迷期こそ、建築するには最適な時期でもあります。土地の価格は下がり、建設費もかなり安くなっています。また、業界の構造にも変化の兆しが現れています。クライアントには最大限のメリットを提供できるチャンスでもあります。

自分自身はというと、そんな時だからこそ、「仕組み」にこだわっていきたいと思っています。

建築の設計は自由であるようにみえて、実は、建築基準法や、不動産の仕組み、あるいは金融や銀行の仕組みに大きく左右されています。デザインの自由を獲得するために、実は見えないところで様々な「制度」と戦ってきました。今、そういった数々の「制度」に軋みが現れています。旧来の仕組みが揺らいでいるのです。

こういう時代にこそ、「制度」や「仕組み」のイノベーション、つまり革新が可能になると思います。もっと、良い空間、良い建築を設計したい。そのためには、この革新が必要になるのです。

私一人でできることは微々たるものですが、他の志を共有できる人たちと一緒に、すこしずつ前進したいと思っています。

今年の一年の抱負は、「イノベーション」つまり「変革」と位置づけて、将来へ向けて大きく育てるための小さな一歩を踏み出したいと思っています。
(田島則行)

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