昨年の原油高の影響や地球環境の保護という観点から、電気自動車やハイブリッドカーといったエコカーへの注目が全世界的に集まっています。日本では現在のところプリウス、インサイトに代表されるハイブリッドカーが、電気自動車を一歩も二歩もリードしていますが、今年は三菱自動車、富士重工が電気自動車を発売するなど、いよいよ電気自動車の時代が始まりつつあります。
電気自動車は走行時にCO2を排出しないため、従来の自動車に比較すればエコロジーなツールであることは間違いありません。しかし忘れがちなことですが、そのエネルギーとなる電気は必ずしもエコなものではありません。日本の場合、発電電力量の凡そ6割は火力発電によるもので、火力発電は原子力や水力等の発電手段に比べると、CO2排出量が非常に大きい発電手段です。電気自動車単体で捉えれば確かに環境負荷は低いものでしょうが、全体的な視野で捉えると部分的なエコロジーでしかないと言えます。
今後、電気自動車が本格的に普及するためにはいくつかクリアしなければならない課題があり、特に技術的な中心となる充電池には製造コスト、容量などが改善すべき点として挙げられます。メーカーもニッケルやリチウムイオンなど各種充電池の開発に力を入れており、近い将来には大きな発展が期待されます。
充電池の発展は電気自動車だけでなく、エコロジー建築の分野でも大きな可能性を秘めています。
太陽光発電はエコロジー建築の代表的な技術で、補助金制度が復活したこともあり、最近では住宅への設置を検討する方も増えてきています。太陽光発電の問題は夜間や雨天時に発電ができないことであり、その間は別の手段で電力を供給しなければなりません。
しかし充電池が太陽発電に組み込めるようになると話は変わります。使用量以上の余剰電力を充電池へ充電し、夜間・雨天時の電源とすることができますし、さらに充電池から電気自動車へ充電することが出来れば、まさしく自宅がクリーンな発電所であるのと同じ事になります。充電池という技術をコアに太陽光発電と電気自動車を組み合わせることで、CO2を殆ど排出しないエコロジーな環境が実現できるわけです。
新しい時代の乗り物として注目される電気自動車とその背景で進む技術革新ですが、中でも充電池に関するニュースには今後も目が離せません。