テレデザインにおける様々な活動や思索や情報を、この BLOG のコーナーにおいて紹介します。近況報告や、プロジェクトリポート、あるいはテーマ別のトピックなど、 気軽に読んで頂ければ幸いです。

海と太陽とビール・・・、
TBS(2時っチャオ)の撮影

2008年7月22日
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Sliding Houseから見える富士山

一昨日の日曜日は、江ノ島方面までドライブに行きました。逗葉新道から回り込んで、海沿いの道をひたすら江ノ島に向かいます。海の家やらパラソルがビーチ沿いに並び、ほんとうに快晴の海水浴日和です。

 でも、こんな気分で向かったのは、江ノ島でもビーチでもなく、以前に設計をしたSliding Houseです。
 実は、明日(7月23日)にTBSの「2時っチャオ」にこの住宅が紹介されることになり、現地でインタビューがあるということで、休日返上で江ノ島近くまで来たという訳です。
 着くやいなや、みなさん炎天下の下で汗だくになって撮影しています。僕のインタビューは、オーナーさん達と一番上のテラスに腰掛けての撮影となりました。
 たぶん数十秒に編集されてしまうとは思いますが、久しぶりに自分の設計した家を訪れて、設計していた当時の話をしたり、オーナーさんの楽しそうなお話を聞かせてもらえると、感無量です。なにしろ、6メートルの高さの崖が敷地内に横たわっているという難易度の高い敷地でしたから、オーナーさんが土地を買った頃のやりとりや、設計がスタートしたばかりの頃の検討などをしみじみと思い出しました。
 その日は富士山は見えませんでしたが、この最上部にあるデッキは富士山も見渡せるほどの絶景です。ビールでも飲んでくつろぎたい気持ちでしたが、撮影もそのまま続行していましたし、後ろ髪を引かれながら現地を後にしました。

 明日の2時から放送ですので、お時間がある方はぜひ、ご覧ください。(田島)

>>2時っチャオへ
>>Sliding Houseへ

都市を彷徨うスペクタクル(新丸ビル)

2008年7月15日
200807shinmaru01.jpg 新丸ビルエントランス spacer 200807shinmaru02.jpg バーやレストランが集まる7階

 最近、機会があって新丸ビルに2回ほど飲みに行きました。ロンドン時代に事務所にも遊びに行ったこともある、母校の大先輩のマイケル・ホプキンスのデザインです。彼はクラッシックなプロポーションの建築を志向していますが、細部を見るとイギリスならではのハイテックで執拗なディテールのデザインをしますし、鉄のデザインがとても旨いです。

 ロンドン時代、AAスクールの同期でホプキンス事務所で働きながら勉強をしている仲良しが二人ほどおりまして、よく金曜日の夜は飲み明かしました。その当時ホプキンス事務所では、テムズ川沿いに二つのドラム缶(?)のようなチューブによって浮いてそれに格好いいリビングルームを乗っけたようなボートを設計して造ってしまったらしく、ボートパーティにも行ったのが懐かしく思います。テムズ川向こうにはライティングアップされたビッグベン。後ろには、バターシー発電所後が見渡せました。その友人だったか友人の友人だったか忘れましたが、そのチューブの中がベットルームになっていてそこに住んでいまして、湿気が全く抜けない構造だったのか耐えられないほど汗臭かったのが思い出されます。おっと、話しが脱線してしまいました・・・。

 新丸ビルは、なかなか良くできていました。オリジナルデザインのスチールパネルといい、サッシといい、実情を聞いたわけではありませんが、かなりのところホプキンスは思い通りにやらせてもらえたのでは・・・と感じました。あのディテールへのこだわりと全体プロポーションへのまなざしは、西欧的なクラッシックでありながら現代的センスに満ちていて日本の大手事務所には真似できないんだよなぁ。まあ、自分のデザインとはまるっきり違いますが、空間的なプロポーションは参考になります。

 他に感銘をうけたのは、バーやレストランが集まる7階です。ここはホプキンスのデザインではないと思いますが、通路を通路として使わないで店からはテーブルやイスがみ出すことを前提にしてデザインされていました。配置が良くできていて、廊下を歩いていると突如として他の店の真ん中に入ってしまったかのような錯覚をおこします。歩き回るとまるでどこかの路地裏に入ったような親近感です。これだったら何軒かはしごしたくなるような造りですねぇ。テラスに出て飲んだり食べたりできるのも良かったです。

 日本の居酒屋やレストランというのはチャージとかがあったりして席に客をくくりつけ自由を奪う傾向があるし、空間的自由度がない。僕としては飲むのならイギリスにあるパブの形式(みんな立って飲んでいる・・・)のほうが好きですね。友人ともいろいろ話しやすいし、流動的に彷徨いながら隣の見知らぬ人と盛り上がったりと、飲む=彷徨う=意外な展開=スペクタクル(※シチュアショニスト・インターナショナルですね・・・)が懐かしいです。

 そんなこんなで、とっても楽しかったから、僕は新丸ビルはしばらくは二次会会場として使わせてもらおうかと思います。(田島)

Esq広尾 最上階のこと

2008年7月10日
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Esq広尾のペントハウス

 Esq広尾のことを書きたいと思います。
規模の小さい賃貸ビルは、通常のケースだと非常に平べったい外観になってしまいます。室内は通りに面した側だけ窓があり、あとは壁に囲われたような空間だったり・・。そういった賃貸ビル特有のつまらなさ・・、あるいは閉鎖的なつくりをなんとかより開放的で、より特徴的な空間にしたい。
 幸い、敷地は外苑西通り沿いとはいえ広尾の丘を見渡せる好立地であったこともあり、周りの都市的な情景を取り入れて「都市に働く」という快感、あるいは快楽みたいなものを大事にしたいと思ったのです。特に最上階においては、さらにその「都市感」を強調できたらと思いました。

 たとえば、日本ではあまり「ペントハウス」を生かした建物は多くありません。大概は室外機やら電気関係の機械で埋め尽くされ、殺風景な「屋上」になってしまいます。一方、ペントハウスと言われているものは、たとえばニューヨークなどで最上階であることのメリットを最大限に生かして大きなテラスがあったりルーフガーデンがあったりと、大都市ならではの良さをうまく引き出しています。

 今回の広尾のプロジェクトは、たったの8階建てですし、ニューヨークにあるような規模のビルとは比較になりませんが、360度近いすばらしい眺望がありましたので、とにかくペントハウスのおもしろさ、まるで一軒家かのような自由な空間を作りたいと思いました。それが7階、8階のメゾネットとして実現しています。
 8階には大きなテラスがあり、まるで日本の昔の縁側空間のようなテラスと室内の繋がりを実現しています。そしてその見晴らしの良さといったら・・・・。ため息がでますね。でも、設計途中の予算調整の段階で中止してしまい実現できなかったのですが、実はそのテラスにジャグジープールをつくる予定だったのです・・・。いやぁ、実現したかったですねぇ(自分で入りたかった・・・というべきか、笑)。(田島)

>>Esq広尾へ

地震について思うこと

2008年7月 3日
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Esq広尾の構造解析図

 四川地震が起きたと思ったら、今度は岩手地震です。
建築を設計する立場にある我々にとっては、地震にどのように対処するかは重要な命題です。ご存じのように、姉歯事件以来、構造に対する状況はすっかり変わってしまいました。

 自分のスタンスとして、もともと構造をかなり工夫して設計するタイプでしたから、構造的な強度は確保しつつも、キャンティレバー(片持ち梁)や大スパンの構造だったり、あるいは架構方法を工夫して空間的な良さやおもしろさを引き出すようにしてきました。だから構造をどのように工夫しているかを、いつもクライアントには一生懸命説明していたんです。でも、その専門用語の並ぶ説明に姉歯事件以前はどのクライアントも上の空・・・だったのに、最近は皆さん、とても熱心に聞いてくださいます。そういう意味では、皆さんが一般常識として構造に興味を持ってくださるようになったのは、プラス効果でした。

 ただ、問題は役所の対応です。去年の6月の法改正以降、構造的に工夫をしすぎると適合判定というプロセスが必要になってしまうのですが、新法の実行体制の整備が遅れていたために適合判定員の人数が十分でなく、ものすごく長い時間がかかってしまうのです。結果として、時間的な制約のために、構造をオーソドックスに納めざるをえないようなプロジェクトもでてきてしまいます。これは大きなマイナス効果です。
 どちらにしても、我々としては、やっぱり安心して住んでもらいたいというのが第一ですから、どんな条件であれ法定基準に則った耐震強度よりも最低でも1.5倍以上の強度を確保するように努めています。

 実は岩手中部に我々が設計した住宅があります。岩手での地震の直後に心配になって電話してみましたところ、「全然大丈夫です〜、被害といえば、こけしが棚から落ちたぐらいかなぁ・・・。」とのこと。ホッと一安心です。(田島)
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