今、新しい実験住宅の建設を進めています。
次世代の省エネルギー基準に合致した高断熱住宅なのですが、単なる高断熱ではありません。
地下1階地上三階建てなのですが、地下1階と1階は、外断熱コンクリート造による高断熱とし、2階・3階は内断熱木造による高断熱仕様としています。
断熱性能を上げること自体は技術的にはそんなに難しいことではありません。ただ、単純に高断熱・高気密にしてしまうと、自然環境からは隔離された、箱に閉じこめられたような開放感のない空間になってしまいます。
したがって、日射や通風、それから蓄熱性や空気の循環を総合的に考慮しつつ、周辺環境との関係を積極的に取り入れた住宅のあり方を模索し、それを実現しようとしています。
設計の過程で、エコロジー住宅について考えを巡らせていく中で、「マテリアリティ」というコンセプトに行き着きました。
現代の建築は、工業生産品に囲まれています。それは、大量生産され、 品質も高く、均質な表面を持っています。その工業生産品としての均質さが、言ってみれば「人工的」な素材感となってしまうのですが、これ に囲まれた空間というのは、フラットで人間味が薄く、陰影にとぼしく、情感が乏しい実はとっても気持ち悪いものなのです。
触感的なアウラや空間的な奥行きが乏しく、そこで長い時間過ごすのがとても苦痛に感じます。代表的な例がマンションや建売住宅の空間かもしれません。
この実験的住宅では、そういった空間の奥行きを獲得しようと、「マテリアリティ」についても、いろいろと試行錯誤をしています。「鉄」という素材、「コンクリート」という素材、そして「木」。さらに「光」や「風」の質感を「空間のマテリアリティ」として取り込みたい、そんなことを考えながら、試行錯誤を続けています。
詳しくは、また続編でお知らせします。(田島則行)