テレデザインにおける様々な活動や思索や情報を、この BLOG のコーナーにおいて紹介します。近況報告や、プロジェクトリポート、あるいはテーマ別のトピックなど、 気軽に読んで頂ければ幸いです。

民主党政権の誕生・サステイナビリティの向上へ

2009年9月29日

箱物公共工事より前に、経済や社会構造の軋みが問題では?
箱物公共工事より前に、経済や社会構造の軋みが問題では?

8月30日の衆議院選挙の結果、民主党による政権交代がついに実現しました。

今、日本はボロボロです。国の体制としても不協和音があちらこちらで聞こえてきて、社会的・構造的な軋みが鳴りやみません。

実は、建築分野はその影響を一番受けている業界です。
思い出してみれば、姉歯事件の反動で建築基準法の法改正で半年間も確認申請が下りないような事態が続き、建設業界が大きな打撃を受けました。

その後さらに、ウォール街発の金融工学で過剰に潤っていた投資資金が建設資材の価格を押し上げたかと思えば、不動産投資市場はサブプライム問題で急激に冷え込み、数多くあった不動産ファンドやディベロッパーが淘汰されていきました。

官製不況と経済不況が同時に押し寄せたのが、今の日本の建築・建設業界でした。

そんな時代だからこそ、民主党の一挙一動からは目が離せません。
修正に修正を加えて、摩訶不思議な暗号文書と化してしまった建築基準法は、役所の人間ですら四苦八苦して解読しています。古い建物一つをリノベーションして再生するのにも、法解釈の厚い壁が立ちはだかり、既存の都市ストックの再利用はなかなか進みません。

都市再生を掲げてコミュニティーセンターやら、美術館やら、アニメの殿堂(?)やらを建設しても、結局は新しい天下り団体を増やし続け、日本の借金は膨れあがるばかりです。

民主党が掲げる、「人」を中心とした日本再生・都市再生には共感する部分が多くあります。
アニメの殿堂だって、いきなり箱物の大きな建物を建てるのではなく、秋葉原という街の空き室・空きビルを連携させて秋葉原の都市再生とリンクさせた運営方針が十分に可能なはずです。そうすることによって、自律的に発展していける都市構造が可能なはずだと思うのです。

大型建設に頼った公共投資が、なぜ日本の将来のためにならないのか。

それは、持続可能性(サステイナビリティ)の問題です。

公共工事は、工事期間中は建設費用を通してその地域にお金がばらまかれます。しかし、そのお金は一過性のものであって、その地域がお金を創出できる仕組み、自律的に地域再生ができる循環構造を作らない限りは、結局は赤字運営の飛行場や美術館となってしまい、地方行政を疲弊させます。

発展途上国であれば、自民党モデルのバラマキ型は成立しますが、人口縮小する今の日本では成立しません。

エコロジーやエネルギーにおいてだけでなく、経済的そして社会構造的な持続可能性、サステイナビリティの向上こそが、我々の目指すべき将来なのです。(田島則行)

T邸新築工事:サッシ・断熱工事

2009年9月27日

200909sassi.JPG
サッシが取り付けられ、内部工事も進んでいます。
壁・天井には断熱材が隙間なく敷き詰められました。
ここまで終わると、内部の下地工事はほぼ終了です。これからボード貼工事に移っていきます。

NT邸新築工事:断熱工事

2009年9月14日

この住宅は断熱性能を上げた省エネルギー住宅になっています。
地上2階、3階の木造部分には発泡ウレタンを吹き付けます。黄色い液体を下地に吹き付けると、あっというまに数百倍に膨らみ、隙間のない断熱材となります。

エコロジーTIPS:燃料電池

2009年9月10日

エネオス社製 エネオスエネファーム
エネオス社製 エネオスエネファーム
spacer燃料電池システム図(エネオス社製 エネオスエネファーム)
spacer燃料電池システム図
spacer(エネオス社製 エネオスエネファーム)

今回は、最近住宅用の発電装置・熱源として急速に注目を集めつつある、「燃料電池」についてリポートします。

住宅用の発電装置・熱源としては、太陽光のエネルギーを電気に変換する太陽光発電や、大気中の熱を利用してお湯を沸かすエコキュート等が既にかなり定着しつつありますが、今回リポートする「燃料電池」はどういうものかというと、都市ガス等から水素を取り出して空気中の酸素と化学反応させて発電し、さらにその時の排熱を利用してお湯を沸かすというシステムです。

この燃料電池を利用することにより、家庭で消費する電力の4割〜6割を賄えるといわれ、ガスの場合専用料金が設定されているため、年間の光熱費も5〜6万安くなるという試算があります。

又このシステムは、化学反応の過程で二酸化炭素が発生しないことと、都市ガス等をその場で電気に変える燃料電池は、発電所から供給先までの距離で失われるエネルギーロスが大きい電気に比べ、エネルギー効率が非常に高いことを各製造メーカーはメリットとして挙げています。

イニシャルコストとしては、大手ガス会社を中心に、現在はシステム価格で320〜350万円弱の間で発売(または発売予定)されており、国の補助金が、09年度は140万円を上限として、機器価格から従来型給湯器の基準価格(30万円想定)を引いた金額と、設置工事費の合計に1/2を掛けた金額が補助されます。

仮にこの補助金の上限140万円を見込んでも、イニシャルで180〜210万円+設置費用がかかることとなり、現在では想定耐用年数7〜8年で設置コストを回収するのは難しい状況で、太陽光発電と比べても非常に高額な買い物といえます。

しかし東京ガスでは、8年後に機器価格を100万円以下に引き下げる計画をしているようですので、これは他のシステムにもいえることですが、価格の動向によっては、急速に普及する可能性があり、これから先の動きには目が離せません。

それにしても、住宅におけるエネルギー環境に対する技術の革新は日進月歩です。
少し前まで、私の認識として住宅のエネルギー消費を減らすということは、住宅にかかる環境負荷を最小限に抑えること(高気密、高断熱等)とイコールでした。

しかしここにきて、供給される電気、ガスを消費する一方だった住宅が、エネルギーを生み出し、蓄え、供給側に売ることも可能になってきています。

都市インフラにどの程度たより、どの部分を独立したエネルギー供給システムとするか。地球環境の視点、コストの視点、災害時の危機管理の視点などから、各々が考え、自分の家のエネルギー環境をつくっていくという状況が、近い将来のものになりつつあります。(スタッフ:神津)

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