テレデザインにおける様々な活動や思索や情報を、この BLOG のコーナーにおいて紹介します。近況報告や、プロジェクトリポート、あるいはテーマ別のトピックなど、 気軽に読んで頂ければ幸いです。

上棟と構造検査

2009年4月28日

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これまで地鎮祭・基礎工事とリポートしてきましたが、今回は建築工事における前半戦のクライマックス、上棟と構造検査についてお伝えします。

正式には、上棟というと屋根の一番上に位置する棟木を取り付けることですが、現在は木造に限らずRC造でも屋根までの構造部分が終わると上棟と言い、建物の主要な構造部分が完成することになります。

木造住宅の場合には、プレカット工場で加工した木材が現場に搬入され、1日~3日ほどで基礎の上に軸組が組み上げられます。建物の規模や構造にもよりますが、この上棟の日には応援の大工さんを頼んだり、クレーンを入れたりすることもあり、現場の様子も普段よりも活気溢れるものになります。

基礎しかなかった場所に、いきなり建物の輪郭を持って立ち上がるわけですが、我々にとっても設計上の重要なプロセスになります。まだおぼろげではあるものの、それまで模型や図面で想像していた空間が現れると、それまでの想像と比較しながら、スケール感や光の入り方などを確認することができます。実際の空間で体感してみて、新たに発見したことなどを設計にフィードバックして、よりクオリティの高い空間を目指すわけです。

また軸組が組み上がると、配筋検査に続いて2回目の構造検査が入ります。このとき柱や梁の寸法や材種もチェックしますが、メインでチェックするのは、補強金物になります。

阪神大震災以降、木造住宅では補強金物の使用方法に関して具体的な規定が定められました。
基礎と柱、柱と梁、梁と梁など住宅一件の中にはたくさんの接合部があります。こうした接合部に地震時にはあらゆる方向の力が働きます。その中でも特に部材と部材が離れようとする引き抜き力に対して金物で補強することにより、安全性を確保するのことが補強金物の意味になり、この構造検査も非常に重要な検査になります。

補強金物は使われる接合部分により、形状や種類が変わります。柱を留める金物に関してはかかる力に対してもさらに細かく仕様が決められています。

構造検査では、ひとつひとつの接合部を全て確認し、使われている金物の種類、仕様を逐一チェックしていきます。接合部の数は、場合によっては100箇所以上にもなったりしますが、安全性に直結するだけに手を抜くわけにはいきません。
テレデザインでは、確実に一箇所、一箇所をチェックして記録を残すようにしていますが、安全な住宅をつくるという意味を考えれば、こういう手間こそ大切なものだと考えています。(スタッフ:伊澤)


上棟02上棟03構造金物

H邸リノベーション:現地調査

2009年4月23日

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これから改修を行う住宅の現地調査にいってきました。
目に見える部分だけでなく、床や天井も剥がして中の状態を確認します。
1階の床下は痛みが激しく、下地からのやりかえが必要になりそうです。

NT邸新築工事:地下掘削工事

2009年4月14日

NT邸の地下掘削工事が進行しています。地盤が弱く、かつ地下水位も高いということで、地盤改良を行った上で、廻りの地盤が崩落しないように慎重に山止めを行いつつ、わき出してくる地下水に注意しつつの工事です。順調に進んでいます。

一戸建ての住宅を建てる難しさ
 土地探し、資金計画、そして住宅ローン

2009年4月14日

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住宅ローン減税が大幅に拡充されることも決まり、着工住宅建築数が増えると思いきや、業界の話を統合すると、多くの人が建築を考えてはいるものの、まだ、足踏み状態のようです。

まず、第一に、分譲マンションの値段がガタ落ちで、資産価値として信頼できなくなってしまったことが大きな理由の一つだと思います。

あるいは選択肢としては、新築でありながら、転売されて安く手に入れられる分譲マンションがかなり大きく出回っているようです。でも、これを購入するのはちょっと不安ですよね。

あるいは建売住宅を購入するという手もありますが、建売系の会社も、マンションディベロッパーと一緒で、多くが倒産したり縮小したりしており、これもなかなか信頼がおけません。

そこで、一戸建ての注文住宅への問い合わせが増えていますが、色々と専門的な知識が必要なだけにハードルが高いようです。

分譲マンションや建売住宅のばあいは、購入するものがすでにできあがっているケースが多いですし、住宅ローンの手続なども申込書に書き込んで押印するだけで、購入手続が済んでしまったりします。

ところが、一戸建ての注文住宅の場合は、土地探しから始まって、住宅ローン、そして設計者の選定などなど、かなり煩雑な手続を経てやっと完成します。予算にしても、土地によっても建築可能な面積が異なりますし、建築の工法(木造、鉄骨造、RC造)によっても建設コストが違いますので、色々と悩む事が多くあります。

希望の思い通りの住宅を手に入れるには、まず、土地探し、資金計画、そして建築条件のチェックが不可欠です。我々を含めて、専門家をうまく利用してもらって進めるのが鍵になると思います。(田島則行)

エコロジーTIPS:パッシブソーラーシステム

2009年4月 9日

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太陽熱のエネルギーを冷暖房・給湯に利用するのがソーラーシステムですが、これは大きくアクティブソーラーシステムとパッシブソーラーシステムに分類されます。

アクティブソーラーシステムは機械的な設備を使用する方式で、太陽光パネルなどが代表的な例です。それに対して、パッシブソーラーシステムは機械的な設備は使用せず、建築自体の工夫によって太陽熱を利用します。

そもそも、ソーラーシステムというのは、太陽熱のエネルギーを、集熱→蓄熱→放熱するシステムが一般的で、パッシブソーラーシステムの場合、建築のどの部位で、上記の過程を行うかによってその種類が異なります。

そして、パッシブソーラーシステムを考える上で、もうひとつ重要なことは、光や熱の時間的変化をうまく利用すること。大げさな表現ですが、要するに、昼間集熱した熱を夜間放熱する、もしくはその逆で夜間に蓄冷するということです。

また、パッシブソーラーシステムは、冬期の暖房を目的にしたパッシブソーラーと、夏のためのパッシブクーリングに分類されます。

まずは、パッシブソーラーについて紹介します。
パッシブソーラーの代表的なものとしては、
・ダイレクトゲイン(直接集熱)
・トロンプウォール
・温室(サンルーム)付設型
・空気循環型(サーモサイフォン)
が挙げられます。

1.ダイレクトゲイン(直接集熱)
南面する窓や天窓から日射を導入し、室内の床や壁を蓄熱部位とする方式。夜間に室温が低下し始めると蓄熱部位である床や壁から放熱され、暖房効果を得ます。

2.トロンプウォール
集熱窓の室内側に自立した蓄熱壁を設け、これを貫流して室内に到達する熱で暖房効果を得ます。蓄熱壁の電熱のタイムラグで夜間暖房を行います。

3.温室(サンルーム)付設型
居室の南側に付設したサンルームを集熱部位とする方法。温室で暖められた空気を直接居室に送る方法や床下土間に送る方法などがあります。

4.空気循環型(サーモサイフォン)
空気式集熱器で暖めた空気を循環させる方法。空気式集熱器は暖房空間よりも低い位置に設置し、自然対流によって熱を移動させる方式、二重壁の間の空気層に空気を循環させる方法などがあります。

パッシブソーラーは寒冷地のソーラー暖房から始まったと言われていますが、日本ではむしろその逆で、夏のための建築的工夫が伝統的です。大きな茅葺き屋根や深い庇は典型的な遮熱デザインと言えるでしょう。こうした工夫を総じてパッシブクーリングと言います。

このように一口にパッシブソーラーシステムといっても、様々な種類のものがあります。
私たちが設計をするときには、敷地の状況に応じて、意識的に取り入れているものもあれば、無意識のうちに実践しているものもあります。
最後に、パッシブソーラーシステムの弱点として、元々自然エネルギーを利用するため、それ以上のエネルギーは創出できませんし、天気が悪ければ当然その力を発揮できません。ですから、大事な事は、自然エネルギーを上手に利用しつつ、足りない分は機械的空調設備を使うなりして、快適な室内環境を創出することにあると思います。(スタッフ:山添)


追記:写真は、最近竣工した住宅です。南側に大きな開口を設けて自然光を取り入れています。太陽光だけでも、かなり暖かく、施主も満足されているようでした。

三つの○(マル)印
 最近の徒然なる近況報告

2009年4月 6日

200904kinkyo01.jpgWBC2連覇特集号!(©産業経済新聞社)200904kinkyo02.jpg満開の夜桜、4月5日大横川にて

4月に入って新しい年度になりました。今年はどんな1年になるのでしょうか。
実は、建築の設計デザインを手がけてかれこれ15年が経ちました。最近、1年がだんだん短く感じるようになってきたのが気になるところです。

仕事からは脱線しますが、ちょっと自分の中での○(マル)印が三つほどありました。

一つはWBCの日本2連覇。これには感動しました。
あれだけ難しい試合が続くなかで、ついつい見ている方は一喜一憂してしまい、なかなか冷静にはなれません。ところが、原監督といい、イチローといい、なにがあっても平常心を保ちつつ、ついに最後は劇的な優勝をしてしまいました。
しばしその余韻に浸りたいところですが、プロ野球はすでに開幕ですね。

もう一つの○印は、F1の初戦、オーストラリアGPです。
ホンダが撤退してしまったのは、本当に残念でしたが、その旧ホンダチームである、ブラウンGPが、なんと、初戦優勝、しかもワンツーフィニッシュしてしまったのです。

もともとフェラーリの黄金時代を気づいたロス・ブラウンが去年ホンダに移籍してから、初めてゼロから造ったマシンは、すごい戦闘力があるようで、圧倒的なアドバンテージで走りきってしまいました。今年のF1が楽しみです。(昨日のマレーシアGPで、ブラウンGPのバトンが2連勝しました!)

でも、惜しいですね。ホンダがあと1年頑張っていれば、今年は劇的なホンダ・イヤーになったかもしれないのに・・・。とはいえ、金融危機の中、撤退を決断したホンダの英断は、正しいと思います。
幸い、先日発売しはじめたインサイトも好調なようですし。

三つめの○印は、先日、新宿のオゾンで行われたイタリアの家具メーカーであるMAGISの東京ショールームのオープニングに行ってきました。
そこで、3年ぶりぐらいに知り合いに何人か会ったのですが、「痩せましたねぇ・・・」とお褒めの言葉。実は、ここ3年ぐらいかけて、徐々にダイエットしていたのです。トータルすると15キロぐらいでしょうか!(いったい、前は何キロだったんだ?)毎日顔を合わせているスタッフは、だれもそんなお褒めの言葉をかけてくれません。

そんなこんなで、自分の中では、次なる課題は、体力づくりだと思っています。
もともと、学生時代はスポーツマンだった(はず?)ので、体力だけはあると思っていましたが、よくよく考えてみると、ここのところ、いつも車で移動をして、事務所ではコンピュータとにらめっこ。これじゃあ、体力が落ちていきます。

よくお願いする神奈川の成幸建設の宮原社長もブログを公開していて、どうやら、毎日のように走っている模様。あるいは、僕のスタッフも去年から自転車通勤を始めてかなりの体力アップ。最近では、東京中を自転車で走り回っているようです。はたまた、今週から始めることになった住宅のクライアントは、先日、初フルマラソンにも挑戦したとのこと。

なんだか、周りの状況が、僕に体力づくりを促しているかのようです。

ルイガノの自転車を3年前ぐらいに買ったのはよいのですが、ほとんど乗っていません。痩せてきたこともありますし、そろそろピチピチのサイクリング・ファッションが似合うかも(?!)。

暖かくなってきましたし、少しずつ体力づくりを始めようかと思うこの頃です。(田島則行)

建築のサスティナビリティについて
 エコロジーの将来性

2009年4月 2日

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林試の森公園にて

サクラが咲きましたね。やっと春が来ました。

気がついていらっしゃる方もいるかと思いますが、ブログ上で、エコロジーTipsと題したシリーズを始めています。主にスタッフがそれぞれテーマを決めて執筆する形をとっています。

太陽光発電やパッシブソーラーなど、「エコロジー」を主題とした建築のあるべき姿は、まだまだ発展途上の分野です。もちろん、現在までに様々な先進的試みはありましたが、一番大きなネックはコストが高すぎることでした。ところが、ガソリン高騰をきっかけとした金融恐慌もあり、この状況が一変しました。

アメリカだけでなく、日本でも政府がこの課題に真剣に取り組み始め、CO2の削減、代替エネルギーや自然エネルギーの利用の促進。つまり、太陽光発電や蓄電池などのテクノロジーは、今後は急速に普及し、価格も急激に手に入れやすいものになっていくと思われます。

実のところ、建築・建設を巡るエネルギー・エコロジー系の業界は、まだまだ未開拓の分野だと思います。
様々なメーカーや会社が個々に様々な実験をしたり新商品を開発したりしていますが、どれもこれも、自分の会社における得意な部分をいかし、そのメリットを生かすために行っており、断片的な技術や方法論が、バラバラに林立しているのです。ですので、調べれば調べるほど、どの技術がすぐれていて、どれとどれを組み合わせるのが理想的なのかが、混乱してきます。

つまり、コンピュータ業界に喩えれば、80年代後半から90年代前半の状況によく似ています。マイクロソフト・ウィンドウズやアップルのような、様々な技術を集めて統合するような、上位の概念をもつOSが、この分野ではまだ確立されていないのです。

我々としても今後の大きな課題として、バラバラなものをどのようにまとめて、個々の様々な技術をどう生かしていくのかを探求し、それらを統合できるような新しい建築の形を探って行きたいと思います。そのためにも、このエコロジーTipsにて、今後も少しずつ、様々なテーマを網羅しながら、今後の建築の将来性を考えていきたいと思います。(田島則行)

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