その昔は建築設計の仕事といえば、製図台にてトレーシングペーパーに設計図を書くことだったのですが、今はCAD(Computer Aided Design)で作図します。じゃあ、CADで図面を書くのが設計の仕事かと言いますと、答えは 'Yes & No' 。
建築設計は、1に現場、2に製図、3が打合せ、4に現場。
もちろん、作業としてはたくさんの図面を書くのですが、その図面といえば、現場での打合せや役所との協議、あるいはクライアントとの打合せに使うために作成されるもので、あちらこちらの現場や打合せのために移動していることが多いのです。
移動する先が都内の電車などの交通の便が良いところだけであれば、もちろん電車で移動すれば良いのですが、問題は現場です。毎週のようにあちらこちらの現場にチェックに行きますし、現場は都心よりも郊外の方が確率的にも多く、時には地方に現場があったりします。
そんなわけで車での移動距離が非常に多く、1ヶ月で約1600キロから1800キロぐらい、1年で約2万キロぐらい走ります。
給油も1ヶ月に四回はしますので、1ヶ月で約250リッターぐらい消費する計算になります。
8月〜9月ごろのガソリン価格急騰は本当に困りました。一番高かった時で、都内のガソリンスタンドで200円を超えました。
一生懸命に燃費運転しても、都内では限界があります。せいぜいリッター6〜7キロ。郊外に行くときは9〜10キロぐらいに伸びますが、燃費が良くなったと言って、喜んでいる場合ではありません。長距離を走ればそれだけガソリンをたくさん消費しているわけですから。
幸い最近はガソリン価格も下がり、今では都心でもリッター110円ぐらいに落ちてきました。ほっとひと安心。
しかし不思議なもので、このガソリン急騰から急落を経験し、ガソリン価格が落ちても、ガソリンを消費することには積極的になれません。アクセルもセーブ気味にして燃費運転を心がけてしまいます。
プリウス等のハイブリッドカーや新しい燃料電池車が洗練されて見えるのは僕だけでしょうか。あるいは機動力があって燃費のよい超小型車のスマートや新しいトヨタのIQなども魅力的ですね。
そもそもエネルギー問題は今に始まった事ではありません。人類が過大なエネルギーを浪費し環境に負担をかけ続けてきたという、そんな根本的な地球レベルの問題にあらためて気づかせてくれたのが、このガソリン高騰劇でした。(その原因は投機的資金の流れだったとしても...)
今後はエネルギーをいかにセーブしてエコロジー度の高い暮らしをしていくかが、理想論ではなく現実的な選択肢として具体化していくことが不可欠になり、住宅や建築においても急速に一般化していくでしょう。
もちろん、今までも太陽光発電などの設備はありましたが、初期設置費用があまりに高く、多くの場合は現実的な選択肢にはなりませんでした。
でも、今後は補助制度も充実してくるでしょうし、生産コストも普及が進むに従って下がって行けば、ローコスト住宅でも採用可能になると思います。
機械的な設備を付加するだけではなく、真の意味でエコロジカルなライフスタイルに合致したデザインを生み出していけるかが今後の大きな課題です。(田島則行)