テレデザインにおける様々な活動や思索や情報を、この BLOG のコーナーにおいて紹介します。近況報告や、プロジェクトリポート、あるいはテーマ別のトピックなど、 気軽に読んで頂ければ幸いです。

三次元空間のを設計すること...
 欠かせない模型での検討

2009年1月29日

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設計を進めるとき、模型を数多くつくる設計事務所とまったく作らないところとあるそうです。特に工務店や売り建て系の事務所であれば、模型を作るのはほぼ皆無のようですね。

一方、我々は設計を進めるときには模型を数多く作ります。それはプレゼンテーションと言うよりは、スタディ検討のための模型を作ります。

たとえば、住宅であれば基本設計時には100分の1の大きさの模型を作ります。この段階ではかなりラフな模型になります。ボリューム検討から始まって、徐々に建物の壁や輪郭や開口部がデザインされていきます。当然ながら、敷地周辺の建物のボリューム模型も作り、周囲の家との位置関係や日照や通風などの検討も行います。

実施設計の段階になると50分の1の模型を作り、間取りや階段や開口部や屋根などのデザインを行いながら、模型を作り上げていきます。途中で何度も部分的に作ったり壊したりしながら修正を加えていきますので、毎週のように変化していきます。

工事が始まりますと、30分の1の模型をつくったり、あるいはディテール検討用の部分模型を10分の1や5分の1で製作したりもします。特注で窓枠を製作する場合などは、窓枠の納まりを検討するための模型も製作したりするのです。

もちろん、プロジェクトによって作る数は変わってきますが、こういった模型を使って打合せをすることによって、クライアントも空間やデザインの様子が把握でき、図面だけではわからない立体的な工夫が一目で理解できるようです。

そういう我々も、図面だけでは見落としがちな部分が模型を使うからこそ、検討がスムースに行えます。

そもそも、我々の作り出す物は3次元あるいは時間軸をともなった四次元のデザインです。歩きながら感じるシークエンスや日照が1日を通して東から西へと動く中で感じる時間感覚を大切にする上で、こういった模型での検討は必要不可欠なものです。

困ったことと言えば、こんな感じで常に模型を作っていると、どんどん増えてしまい倉庫がいくらあっても足りない、ということぐらいでしょうか...。どの模型も愛着がありますが、時折、倉庫の大掃除で古い模型や痛んでいる模型を破棄しなければいけないのが、とっても残念です。

といいつつ、今日も新しい模型が続々と作られてきます...。(田島則行)


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木材加工ショールーム見学
 裸足で感触を比較検討

2009年1月26日

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去年のことになりますが、木造のプレカットを行う浜松にあるマルホンの工場へと見学に行きました。

その工場を使ったのは初めてだったのですが、東京近郊にある工場にくらべるとかなり立派な工場で、ショールームもしっかりとデザインされていて感銘を受けました。

プレカットとは、木造住宅における木材を建物に合わせて切り出したり継ぎ手を加工したりする工程のことですが、そういった構造材の他にも、この工場ではオリジナルのフローリングや仕上げ材なども製作しており、それらが広々としたショールームにてすべて展示してあり、はたまた、オーナー社長が世界中から集めてきた木加工の工具やらが展示してあって、会社の強いフィロソフィーを感じます。

特にフローリングの展示がすばらしく、数十種類あるフローリングがそれぞれ70cm x150cmぐらいの大きさで敷きつめられており、裸足で歩いて感触を確かめることができるのです。

いつものことですが、フローリングを扱っているメーカー数は数多く我々もどのプロジェクトでもサンプルをたくさん取り寄せて比較検討します。でも、さすがに敷き詰められるほどの量は確保できません。どの建材でもそうですが、小さいサンプルで見るのと大きく全体に敷きつめられるのでは、印象が全然違うことが多いのです。

そういった意味で、このマルホンの工場に併設されたショールームは最高でした。惜しむべきは、ちょっと遠いこと。関東エリアにもこういったショールームがあれば、もっと頻繁に利用したいと思います。(田島則行)

ガソリン高騰が気づかせてくれたこと

2009年1月13日

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2009年1月11日 明治神宮の森にて

その昔は建築設計の仕事といえば、製図台にてトレーシングペーパーに設計図を書くことだったのですが、今はCAD(Computer Aided Design)で作図します。じゃあ、CADで図面を書くのが設計の仕事かと言いますと、答えは 'Yes & No' 。

建築設計は、1に現場、2に製図、3が打合せ、4に現場。
もちろん、作業としてはたくさんの図面を書くのですが、その図面といえば、現場での打合せや役所との協議、あるいはクライアントとの打合せに使うために作成されるもので、あちらこちらの現場や打合せのために移動していることが多いのです。

移動する先が都内の電車などの交通の便が良いところだけであれば、もちろん電車で移動すれば良いのですが、問題は現場です。毎週のようにあちらこちらの現場にチェックに行きますし、現場は都心よりも郊外の方が確率的にも多く、時には地方に現場があったりします。

そんなわけで車での移動距離が非常に多く、1ヶ月で約1600キロから1800キロぐらい、1年で約2万キロぐらい走ります。
給油も1ヶ月に四回はしますので、1ヶ月で約250リッターぐらい消費する計算になります。

8月〜9月ごろのガソリン価格急騰は本当に困りました。一番高かった時で、都内のガソリンスタンドで200円を超えました。
一生懸命に燃費運転しても、都内では限界があります。せいぜいリッター6〜7キロ。郊外に行くときは9〜10キロぐらいに伸びますが、燃費が良くなったと言って、喜んでいる場合ではありません。長距離を走ればそれだけガソリンをたくさん消費しているわけですから。

幸い最近はガソリン価格も下がり、今では都心でもリッター110円ぐらいに落ちてきました。ほっとひと安心。

しかし不思議なもので、このガソリン急騰から急落を経験し、ガソリン価格が落ちても、ガソリンを消費することには積極的になれません。アクセルもセーブ気味にして燃費運転を心がけてしまいます。

プリウス等のハイブリッドカーや新しい燃料電池車が洗練されて見えるのは僕だけでしょうか。あるいは機動力があって燃費のよい超小型車のスマートや新しいトヨタのIQなども魅力的ですね。

そもそもエネルギー問題は今に始まった事ではありません。人類が過大なエネルギーを浪費し環境に負担をかけ続けてきたという、そんな根本的な地球レベルの問題にあらためて気づかせてくれたのが、このガソリン高騰劇でした。(その原因は投機的資金の流れだったとしても...)

今後はエネルギーをいかにセーブしてエコロジー度の高い暮らしをしていくかが、理想論ではなく現実的な選択肢として具体化していくことが不可欠になり、住宅や建築においても急速に一般化していくでしょう。

もちろん、今までも太陽光発電などの設備はありましたが、初期設置費用があまりに高く、多くの場合は現実的な選択肢にはなりませんでした。
でも、今後は補助制度も充実してくるでしょうし、生産コストも普及が進むに従って下がって行けば、ローコスト住宅でも採用可能になると思います。

機械的な設備を付加するだけではなく、真の意味でエコロジカルなライフスタイルに合致したデザインを生み出していけるかが今後の大きな課題です。(田島則行)

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