テレデザインにおける様々な活動や思索や情報を、この BLOG のコーナーにおいて紹介します。近況報告や、プロジェクトリポート、あるいはテーマ別のトピックなど、 気軽に読んで頂ければ幸いです。

高岡におけるデザインプロジェクト始動

2008年11月26日

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去年から、何回か富山県の高岡に行ってきました。
知らない人もいるかもしれませんが、実は高岡はモノづくりやデザイン関係の人たちにはとても魅力ある地域です。

金属製品の産地としては江戸時代からの伝統をもっており、400 年の歴史があります。アルミサッシメーカーのような大量生産の工場から、詳細なディテールの仏具を創り出すような人間国宝の職人まで、金属製品においては高い技術に支えられて発展してきました。

とはいっても、実は高岡の将来は安泰ではありません。

日本のどの地場産業に言えることですが、世の中が急激に変化し生産体制や流通の仕組みが大きく変化しており、高岡のような歴史的文脈がある地場産業は、「歴史」が重くのしかかってくる一方で、グローバル化する世界マーケットの競争に巻き込まれて、そのアドバンテージが失われていく危機に直面しています。

そんな中で、いかにして高岡の産業を再構築できるのか・・・。

大きな課題ではありますが、小泉誠さんが関わったプロジェクトなど、いくつかの成功例も出てきており、地元の人たちのやる気もまだまだ健在なのが頼もしく思います。もちろん、不安とやる気が入り交じった複雑な状況ではあるけれども、だからこそ、やり甲斐もあると思のです。

これから3年ぐらいをかけて一大プロジェクトとして、高岡「発」の魅力を引き出していけるよう、頑張ろうと思います。

このプロジェクトの姿形がはっきりと見えてくるまでは、まだまだ時間がかかると思いますが、ぜひ、その姿を1日も早く皆さんにお伝えしたいと思っています。
時々また、続報をお伝えします。(田島則行)

デザインフィロソフィー
枠のディテールと空間と・・・。

2008年11月13日

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今日は、枠のディテールの話をしたいと思います。

「枠」にまつわるディテールは、建築の工法の中では重要な役割を果たします。違う素材と素材がぶつかるところとか、あるいは違う面と面がぶつかるところは「枠」が不可欠です。

天井と壁だったら回り縁という「枠」がきて、床と天井だったら、巾木という「枠」がきます。そして、窓と壁の間には、窓「枠」がきます。別々のモノを調和して旨く納めるために「枠」が大きな役割を果たすのです。

たとえば、素材が違えば温度差による伸縮が違います。ぴったりと納めてしまうと伸縮のズレによるヒビが生じてしまいます。

壁とか床とか窓サッシのように、面や取り付け位置が違えば工事する順序が違いますし、その違うパーツを支える下地が違います。床は土台や根太(ねだ)を下地としており、壁は間柱(まばしら)を下地にしています。そして別々に作っていったものの間には、必然的に隙間が生じてしまいます。その隙間を無理矢理なくしてしまうと、上述のようにヒビが入ってしまいますから、その隙間を埋める調整材として使われるのが、巾木だったり回り縁だったり窓枠だったりするわけです。

こういった理由で、通常のマンションや住宅は、あちらこちらが「枠」だらけの空間になってしまいます。

ところが空間ができあがってみると、この「枠」が大きな邪魔になります。

たとえば、窓の開口を大きくとって外にある自然風景と一体化したような空間を作ろうとした場合、窓は「窓」ではなく、大きな「開口部」として作りたいと思うのです。

つまり、窓を消してしまいたい・・・と。

そうすることによって、窓そのものの存在よりも、意識の中からは窓が消え去って、窓の外にある風景が主体となった空間感覚が現前したりするのです。

だから、「窓枠」が強すぎるのは問題です。

あるいは、壁を壁として美しく立ち上げたいときに、巾木や回り縁はディテールとしては必要であるけども、できるだけ慎ましく納まっていてほしいのです。

我々は、工法としては「枠」を尊重して設計しますが、意匠としては「枠」が負けるように努めています。

なぜなら空間性が勝って欲しいからです。「枠」が見えないデザインは結果に大きな違いをもたらします。(田島則行)

グッドデザイン賞受賞!

2008年11月 4日

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Esq広尾がグッドデザイン賞を頂きました。

大変嬉しいことです。
グッドデザイン賞は前にも頂いたことがあるので、今回で2回目になります。
じゃあ、2回目になると、喜びは半減するかというと、実はそうでもありません。
じゃあ今回の方が嬉しいかと言われると、それもそうでもありません。
どちらも、その時々の嬉しさがある・・・。とでも表現できるでしょうか。

なんだか歯切れの悪いコメントをしているのは、我々の仕事特有の時間感覚が関係しているように思います。

建築の設計は、小さいモノでも1年ぐらいはかかります。すぐに結果がでるスポーツとかオリンピック等とは違って、できあがってからずいぶんと後になって賞をいただくので、いつもそうですが、なんだか実感がわいてきません。

「そうか、賞がとれたか・・!よかったよかった!」と思うのですが、賞を頂いたときには、すでに別の進行中のプロジェクトで頭がいっぱいだったりするのです。

よくよく考えてみると、僕らの仕事はいつでも、こういった時間差があります。

Esq広尾が竣工したときも、夜、誰もまだ使っていない空間をうろうろとしながら、その設計当初からの苦闘や戦いを思い出しつつも、無事竣工できたことで張り詰めていた責任感がすこしずつ解けて、ぼーっとしながら、肩の重みが少しずつ楽になってきたのを、思い出します。

最上階のテラスに佇み、深呼吸してしばしその感慨に浸りますが、次の瞬間には、その時の新しいプロジェクトに向かわなければなりません。
ビルの最上階のテラスで、小さく、ひょいと手をあげて、「よく頑張った・・」と自分に言い聞かせて、また、歩き出すのです。

今週の木曜日は、グッドデザイン賞の表彰式です。その日だけは、気分はオリンピック選手ということで、プロジェクトに参加したスタッフやコラボレーター達と一緒に盛り上がってこようと思います。
そして、このプロジェクトを支えてくださったすべての方々に、この場をお借りして、お礼を申し上げたいと思います。

本当にありがとうございました。今後も、これを励みに頑張っていきたいと思います。(田島)

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