テレデザインにおける様々な活動や思索や情報を、この BLOG のコーナーにおいて紹介します。近況報告や、プロジェクトリポート、あるいはテーマ別のトピックなど、 気軽に読んで頂ければ幸いです。
縮小する日本・出雲ワークショップを終えて...
CitySwitch プロジェクト
2008年8月19日
出雲大社
木綿街道でのインスタレーション1
議論を交わす参加者
商店街のプレゼンテーション
木綿街道でのインスタレーション2
ニュースでもお知らせしましたとおり、8月3日から9日まで、出雲でワークショップを行いました。北は山形から南は福岡、そしてオーストラリアからはシドニー工科大学からもたくさんの学生があつまり、出雲の街から三つのサイトを選び、毎日・毎日歩き回り、毎日・毎日議論を交わし、街を良くしていく方策を考え、最後には提案をするというものです。
以前はこういったワークショップを毎年のように行っていましたが、自分の仕事が多忙になってきたために、ここしばらく、ワークショップ活動は自粛(?)していたので、こういった「暑い夏(汗;)」は久々でとても楽しめました。
地元の建築家の方々などがホストを務めてくださり、街の人々との話し合いや交流もスムースに行われたのもあり、街の実情が身近に感じることができました。また、学生達も普通の観光旅行とは違って、そういったリアリティを肌に直接感じることができて、机上の勉強では得られない都市や街の面白さと難しさを同時に感じたことでしょう。
今回、学生を指導をする講師として参加させていただいていますが、実はこういったワークショップに参加することによって、より多くのことを得たり勉強させてもらっているのは、もしかしたら、学生よりも講師の方かもしれません。
サブプライム問題やガソリン高騰の煽りを受けて、日本全体、あるいは世界全体が大きく変わろうとしている事を常に感じてはいましたが、出雲でそのことを、ここまで強く意識するとは、思いもよりませんでした。
たとえば、不動産ファンドのバブルが今弾けようとしており、ディベロッパーが右往左往する一方で、高齢化社会の年金問題が毎日のように叫ばれています。政治の問題も、経済の問題も、コミュニティの問題も、様々な起こりつつある現象が、一見個別にそれぞれの理由があって発生しているのでしょうが、実は、政治や経済や都市といった分野の違いを横断するように、今までの通底する共通概念が壊れつつあり、古い世界観と新しい世界観のせめぎ合いが今日の混乱を生み出しているのかもしれません。あるいは、90年代以降の十数年で世の中の潜在的な構造が根底的に変わってしまった、といっても過言ではないのでしょうか。
じゃあ、そんな問題がどう「都市」や「街」に影響を与えるのか・・・。見えにくい問題でしたが、実はかなりのところ、もう現実的な問題として目の前にあることが、大きく自覚できた旅だったように思います。
一緒に同行しました東大の大野教授の主張するのは、「シュリンキング・ジャパン」つまり、人口が縮小し、右肩上がりを前提とした発展のシナリオを描ける時代がすでに終わってしまっているということです。人口構成も変わり、お年寄りの方々が人口の40%以上になり、各地方自治体の存在感も縮小していくという時代において、では、都市や街はどうやって再生していけるのか。 大手量販店やスーパーの進出によって地元の商店街の賑わいは失われ、シャッター通りと化した商店街の人たちと議論をしながら、出口の見えない不安を感じずにはいられません。
人口の増加と成長を前提とした経済活動が終わりを告げているからこそ、そこからの税金を当てにした自治体の都市・街づくり行政は、根本的にやり方を変えない限り、未来はないのは明白です。
結論はでませんが、どちらにしても、今後の出雲の未来に貢献できるようにしたいとも思いますし、実は出雲の問題が、出雲だけでなく、日本全体のどの都市や街にも起こっている共通の問題である、ということが大事なように思います。これをきっかけとして、さらに注意深く世の中の動きを見守りつつ、自分なりに新しい世界観はどうあるべきか・・・都市や街はどうあるべきか・・・を考えたいと思っていますし、また、何らかの形で引き続き関わっていきたいと思っています。(田島)
都市の涼風:シエスタのある街
2008年8月 5日
毎日、暑い日が続きますね。 夏にはもともと強い方だったのですが、さすがにこれだけの暑さになると、バテます。
スペインのように長〜いお昼休みでもとってシエスタと洒落こみたいところですが、日本ではなかなかそうも行きません(残念・・)。
エアコンの使用比率が上がり室外機からの放熱やら、道路自体が太陽の熱と車などの熱をうけて温度上昇が著しく、それらが籠もることによってヒートアイランド現象が引き起こされます。特に東京でも山手線の内側においてはその傾向が強く、フェーン現象かとおもうような暑さで参ってしまいます。
これがたとえば湾岸地域や江東区や江戸川区の方にいくと、ちょっとようすが変わってきます。東京湾や川の水は、夏は気温より低く冬は気温より暖かくなっていますので、こんな暑い日が続くときには、隅田川を越えて東にいくと、あきらかに体感温度が低く感じます。特に川の上を横断するときには、涼風が感じられ、夏の情緒を感じます。さらに周りに大きな公園があれば、緑や木々自体に温度を下げる効果がありますので、かなり涼しく感じます。
住宅でも都市でも、鍵になるのは風の通り道です。そして自然の摂理として、風が通り抜けやすくなっていれば、マンションだって、住宅だって、あるいは都市だってもっと過ごしやすい場所になります。
高層ビル群が風の「壁」を作ってしまったのはご存じの通りです。特に汐留一帯の再開発は高層ビルが寄り添って林立しているために、東京湾からの風がせき止められることになってしまい、新橋一帯は熱が抜けにくくなってしまいました。
都市という全体は、様々な因果関係が相互に補完し合って成立しています。特に大規模開発においては、周囲の環境への影響を十分に考慮して計画してほしいものですが、実際には、経済原理を優先した規模の論理、規模の欲求がまかりとおってしまい、湾岸から内陸への風の道をふさぐように高層ビル群が建ち並んでしまったのは、大変残念な結果です。
せめて、風の抜けを「整流」するような仕掛けとして高層ビルのデザインをしてもらえれば、多くの人がその恩恵を受けられると思うのですが。(田島)
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