『Switch! the design project』シンポジウム参加


070827sinpo00.jpg でんきだからできること。でんきが未来をかえる。
〜Switch! the design project シンポジウム〜


日時:2007年7月26日 13:00〜14:30
場所:東京ビックサイト レセプションホール
パネリスト:キドサキ ナギサ氏、小泉雅生氏、曽我部昌史氏
      西山浩平氏、田島則行
コーディネーター:山本恵久氏
「エネルギーソリューション&蓄熱フェア'07」にてシンポジウムが開催され、田島がパネリストとして参加しました。田島を含む5人のパネリストのプレゼンテーションと電気のもたらす空間的可能性やライフスタイルについてのディスカッションが行われました。
まず田島が展示された2作品「STYLE KITCHEN」と「Flex-tie」についてプレゼーテーションした。テレデザインがデザイン監修したSTYLE KITCHENは、生活のON/OFFや時間の経過と共に変わるライフスタイルにフィットした、フリースタンディングのIHキッチン。一方、Flex-tieはSTYLE KITCHENを中心とした近未来型コンセプトハウスである。可動式で半透明の境界で仕切ったり繋げたりすることで、自由な距離感で家族が結びつくことが可能となる。
キドサキ氏や小泉氏そして曽我部氏や西山氏を交え、ディスカッションは住宅、キッチン空間、プロダクトと多岐にわたり展開した。住宅については主に電気のもたらす温熱環境について議論され、場所による温度差のない熱的バリアフリーが住宅空間にまで影響を与え、ボーダレスな空間を実現できることが事例と共に紹介された。田島はキッチン空間での電気の可能性について、次のように述べている。
「電気はコンセントを入れたり抜いたり、スイッチでON/OFFできる自由さがある。この自由さがSTYLE KITCHEN開発の原点であり、だからこそ、フリースタンディングというコンセプトが実現できた。キッチンを巡る環境は時代と共に大きく変化している。ある時代までキッチンはお客さんの目に触れないところに配置するという考え方が主流だったが、昨今ではキッチンが前面に出ていかないと家族や近隣との関係が上手くいかなくなっている。」
また、今の状況として建築は必要最低限のインフラ的環境を確保し、実際のライフスタイルはそこに組み込まれるプロダクトの担う役割が大きい。パソコンの世界では規格化が進みカスタマイズができるようになっているが、そういった自由さは今後プロダクトの世界にも広がる可能性がある。つまり、カタログから完成したものを選ぶのではなく、建築家が状況をデザインしプロダクトデザイナーがその状況に合わせて完成させるという、完成品未満技術以上の領域に可能性があるのではないかということが議論された。
「キーワードはオルタナティブ。少し使い方を変えれば、見方を変えれば、別のものにスイッチする、そういうスイッチするものを時代は必要としている。実はオルタナティブな発想こそスイッチにつながっていくのではないかと思う。」(田島談)
電気のメリットとして一般的に衛生面や環境といったことが挙げられることが多い。しかし、建築と組み合わされることによって単なる技術的なメリットだけでなく、空間の豊かさやライフスタイルの提案にまで発展していく、そうした可能性が感じ取れるシンポジウムとなった。それは職能による区分けを超越し、他分野の専門家がコラボレートすることで開ける、電気のもたらす理想的な未来像を予感するものであった。
(文・テレデザイン 山添)
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