c-MA3
 バブル時代に建設され、竣工と同時に不良債権化し、いままで使われずに見捨てられていた建物である。多くのディベロッパーが再生を企画したが、バブルマンションを意図したおおざっぱなプランニングや、エントランス周りやその横のアプローチやピロティ、そして住居部分のエントランスホールや地下空間の暗さや不気味さも相まって、結局、誰も手をださなかった。
 いわく付きの建物ではあったが、その空間には可能性が秘められていた。c-MA3ではその可能性を引き出して、コストを抑えつつも建物の価値を高め、同時に建物を取り巻く都市環境すらも再生することが目標となった。
 最終的に行き着いた方法は、反転させることであった。外観をいじらずに、外構やピロティ周りだけを集中的に変化させることによって、相対的に既存の外観を、意識の中から消去してしまおう・・・という戦略である。
この考え方は都市戦略とも重なるものがある。この建物の長い長いアプローチをストリートと捉えれば、このストリートを再生すれば、そこに面している建物の価値が相対的に向上することになる。
そういう手法によって止まっていた空間に流れをつくりだし、新しい空間=アーバンコリドーは風の抜けるパサージュとなり、都市の流動を生み出す新しい仕掛けとなった。
Project Data
プロジェクト名:c-MA3
竣工年月:2005年1月
カテゴリー:Complex,リノベーション
敷地面積:1274.44㎡
建築面積:715.2㎡
延床面積:4693.95㎡
住所:東京都港区
用途:事務所・共同住宅
規模:鉄筋コンクリート造地下3階地上8階建て