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名古屋市立大学北千種キャンパス駐輪場

キャンパス内に散在する駐輪施設を一箇所にまとめるべく設置された80台の駐輪を可能とする16棟のシェルター。
各シェルターは厚1mmの耐候性鋼板によってのみ架構されている。

本来は自転車と歩行の移動形式のシフトチェンジはシームレスに連続させることが可能で、それゆえに一般によく見るレールに嵌め込んで停めることを強要する大袈裟な駐輪施設や、自転車の出し入れに一苦労するような窮屈な自転車配列の施設では、そうしたシームレスなシフトチェンジに水を差すようで、いわば自転車と歩行の間を断絶してしまっている。
だから、(公衆マナー上はマズいのだけれど)目的の店の前のガードレールに添わせて自転車を停めて歩き出す違法駐輪の方が、よほどこのシームレスなシフトチェンジを謳歌できているようで自転車も人も楽しそうに映る。

そこで今回の駐輪場は簡単な3つのルールを与えることを基本に設計した。すなわち、
■1.自転車が持つ方向性を基に、急勾配の片流れの屋根を架けることで停め方の“向き”にルーズなルールを与える。
■2.屋根はサドル上部付近のみとして(D=1,200mm。つまり前後輪は屋根からはみ出て雨に濡れる)停め方の“前後位置”にルーズなルールを与える。
■3.駐輪ボラートとしてW=600mmピッチでRCの試験体を足元に配して停め方の“幅(隣輪間隔)”にルーズなルールを与える。
の3つだ。

これに80台駐輪という要求事項への応答として、自分が停めた位置を見失わないよう明瞭な位相を与えるべく16棟(5台/棟)に分棟配置させて、自転車移動と歩行とのシームレスなシフトチェンジを可能とすることを目指した。


駐輪場に「建築」は不釣合いだ。できるだけ軽やかに、雨をしのぐだけの「シェルター」に留めておきたい。今回、厚さ1mmの耐候性鋼板のみによる架構を選択した理由だ。結果的に厚さ1mmの極薄鋼板による架構は建築構造上のニュース性を強く与えてしまうけれど、そうした表現が目的ではない。
周辺の光の変化や木々の緑の濃淡を映しこむ面に対し、見付けは数学的線〜存在しているが厚さが無い線〜のようにそれ自体がおぼろげであることで、壁や屋根といった部位から力学上の意味が漂白され、雨をしのぐ“場”としての意味だけが残され、先の3つのルーズなルールと相俟って自転車と歩行との間に滑らかなシフトチェンジを可能にした風景をひろげている。

名称:NCU Bicycle Park 〜名古屋市立大学北千種キャンパス駐輪場〜
所在地:愛知県名古屋市
主要用途:駐輪施設
構造・規模:S造(厚1mm耐候性鋼パネル造)
建築面積:67.2m2(4.2m2×16棟)
延床面積:67.2m2
竣工年月:2009年3月
設計:久野紀光(@テレデザイン)+名古屋市立大学大学院 芸術工学研究科 久野研究室



photo© 野秋達也

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