spacer
TOP > Works > 神田スキーム
kanda-image01

日本橋から神田にかけての一帯を再生させるための道筋を示そうという試み

建物単体の再生、リノベーションに関しては、ここ数年で大きく注目度が代わり、様々な手法や視点が生まれてきた。だが地域・エリアの再生に関しては、まだ効果的な手法があるとは言えず、大型資金の大規模再開発が目立つばかりである。
神田スキームは、こうした状況に対し、より局所的な効果を散在させることでエリア全体を再生させるための手法・戦略の試みである。

山手線の外側から隅田川に至るまでのエリアは、かつてこの国における流通の要として栄えてきた。しかし、時代の変化のなかで地勢と産業構造が噛み合わなくなり、一方で伝統文化やコミュニティの衰退も危惧されている。さらに、都心にほど近いがゆえに、近隣の大規模都市開発によるオフィス供給過多の煽りを大きく受け、多数の空きビルが発生している。この地域に今も残る問屋街では、流通業の仕組みの変化の波もあって、卸業というビジネスそのものも危機に陥っている。

主なビルディングタイプは、倉庫オフィスビルとでも呼ぶべき倉庫とオフィスを兼ねたものが多く、素地としての空間の豊かさやリノベーションに対するポテンシャルは高いのだが、現状ではワンルームマンションのディベロッパーが幅をきかせており、地元の文化を司ってきたネットワークとしてのビジネスや人情溢れる人の繋がりは、どんどん途切れていくばかりである。

この神田スキームにおいては、再生した物件に「家守」と呼ばれるファシリティマネジャー的人材を育成・配置し、場とネットワークの力による地域活性化を目指している。魅力的な物件を発掘し、既存の街並みや人の繋がりに接続可能なプログラムを創造し、豊かな建築ストックを有効活用する事例を増やしていくことによって、相対的に様々なリノベーション・コンバージョンの道筋をつくる。そして後に続く投資の動きを導きつつ、地元の人々にもその有効性や方向性を共有してもらうことによって、複合的かつ有効な都市再生の方法論を確立できるであろう。





再生のための解はひとつではないが、対象の特性を把握し、既存のポテンシャルを最大限に引き出すという点では、面的な再生でも単独物件の場合と目指すところは同じであると言える。
神田界隈の街に立つ建物=ストックと地元の人々の繋がり=ネットワークを活かして、新たに人と文化を流通させることができれば、興味深い都市再生モデルになるものだと考えている。